日中戦争で中止の「幻の東京五輪と万博」橿原神宮ご神火の「紀元二千六百年奉祝東亜競技大会」とは

オリンピック

コロナ非常事態宣言下、「コロナ禍の安心安全な東京五輪とパラリンピック」(菅首相)が閉会したが、戦時下の昭和15年(1940)に開催予定だった「紀元二千六百年記念事業」としての「東京五輪/冬季五輪札幌大会」「日本万国大博覧会」は、13年に開催を断念している。この二つの五輪は、ともに「開催の是非」が問われた大会だった。


私は『土木施工』(山海堂・2002年7月号)連載「なぞのスポット東京不思議」「幻の候補地! 埋立地月島に浮かんでは消えた東京市庁舎建設と幻の東京オリンピック、万国博開催」を掲載。これを大幅に加筆した単行本『なぞのスポット東京不思議発見』(山海堂)と合わせて国会での「五輪開催中止」質疑など開催返上の経緯と「紀元二千六百年奉祝東亜競技大会」の開催を紹介する。
                      
ちなみに、私は昭和39年(1964)の東京五輪の際には中学生で、聖火リレーの伴走ランナーに選ばれており、当時と今年の五輪、そして幻の五輪の時代情勢に思うことの多いひとりである。

埋め立て地月島の「幻の東京五輪・万博開催」と「東京市庁舎建設」

『土木施工』「なぞのスポット 東京不思議発見」18 2002年(平成16)7月号

幻の五輪と万博
埋立地「月島」

聖火ならぬ橿原神宮ご神火で「紀元二千六百年奉祝東亜競技大会」

単行本『なぞのスポット東京不思議発見』(山海堂)で加筆した「五輪中止の国会質疑」「皇紀2600年祭」

東亜競技大会

「満州一触即発下での五輪開催中止」を求める国会質疑

第70回帝国議会衆議院予算委員会議録(速記)第15回 昭和12年(1937)3月20日          文の太字化と※は筆者注

内閣総理大臣兼文部大臣 林銑十郎                                            ※陸軍大将 斎藤内閣、岡田内閣の陸軍大臣

河野一郎(政友会)                                            ※戦後、農林大臣・行政管理庁長官、経済企画庁長官、農林大臣、建設大臣、国務大臣(東京五輪担当) 息子は河野洋平、孫は河野太郎

【質疑応答】 ※一部抜粋

河野委員

林総理大臣が過般の本会議で現在の日本の国情は一触即発であると云ふ意見を述べられて居られる、そういう時局に果して「オリムピック」開催という国民的要求と申しまするか、「イデオロギー」が出て来るかどうか、(略)一触即発の外務大臣の「イデオロギー」と「オリンピック」を開催しようと云ふ「イデオロギー」とは是程相反するものはあるまいと私は考へる、

林国務大臣

私が当時一触即発の状況だと申しましたのは、日本の国情が一触即発だ、さう云ふことをと申したのではありませぬ、(略)満州国と之に接壌して居る「ソビエト」国との両者の関係を述べたのであります、日本に各国の選手が集って、各国が協力して此の「オリムピック」の大会をやる、そこに各国の親密が益々高調されると云ふことは結構なことであり、希望すべきことであります、一つも私は差支えないことであって此の一触即発の問題とは何等関係がない、斯う云ふ風に考えます 

河野委員 

一触即発と云ふことは、満州だけにあるのだ、日本の国民と満州と何処に今違いがありますか、日本の国内の此国民的緊張は満州問題を離れて何処にあるのでありますか、満州問題を度外視して国民に緊張せよと云ふことは、どうして言えますか、満州方面に於て一触即発の情勢にあるから国民よ緊張せよ云ふのが、指導原理でなければならぬじゃないか 、然るに 一触即発は満州にあるんだ、内地じゃ「オリムピック」をやって宜しいんだ、そう云ふやうな誤魔化しの答弁をやって、議会を通ろうとすることは、軍人のとるべきところではない、真面目な御答弁をなさい        総理大臣、文部大臣として「オリムピック」を開催して、国際平和の殿堂を東京に築かうと云ふ此「イデオロギー」と、満州方面に於て国民的緊張をさして行かうと云ふ此「イデオロギ―」を何処で一致させて、国民を指導するかと云ふ其指導原理を聴いて居る、

林国務大臣 

成程満州の国境方面の状況は非常に困った状況にあるのであります、其の困った有様が即ち一触即発の形に迄ある、併しながらそれが為に今直ちに戦争が起こると云う形でもありませず、又「ソ」国が必ず戦を挑んで来るとも思わないのであります、随て一方に於て国民としては相当なそこに国防に安心の出来る処置さえして置きますれば、国内に於て「オリムピック」の会をやった所で何も差支えはない、 

【参照】菅首相記者会見「五輪・パラリンピック開催質問への書面回答」(一部)         

 令和3年(2021)6月4日付

 五輪・パラリンピックは世界最大の平和の祭典であり、国際的な相互理解や友好関係を増進させるものです。安全・安心な大会を実現することにより、希望と勇気を世界中にお届できるものと考えています。 

   

  

  

 

 

  

 

   

 

 

  

 

     

  

  

 

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