書評に見る「散歩考古学」

「散歩考古学」とは

まちを歩いていると、好奇心を刺激する地形や建造物何かの跡らしき気配や佇まいに出会うことがある。なぜそれがそこに生まれ発展または消滅していったのか? 名もなき遺構や由緒話、土地の記憶を糸口に「時間の地層」をめくると、まちの成り立ちが見えてきて、そこから時代の仕組みに立ち至る—それが私の提唱・展開する「散歩考古学」書下ろし単行本の『歩いて愉しむ大江戸発見散歩』刊行の際に、アーク出版が私の手法を「散歩考古学」と名付けた。そんな「散歩考古学」について、新聞・雑誌などの書評記事で説明しよう。

『歩いて愉しむ大江戸発見散歩』アーク出版 平成14年(2002)

日本図書館協会推薦図書

平成15年CBC中部日本放送ラジオ「つボイノリオの聞けば聞くほど」が、本書と『なぞのスポット東京不思議発見』(山海堂)をもとに秋分の日特集「大江戸発見散歩」を放送、著者として3時間生出演。
「講座・催事・放送出演」https://koukisin-sanpokoukogaku.com/blog/?page_id=772

朝日新聞【読書】「知りたい、読みたい」平成14(2002)11月7日
見て、歩いて「江戸400年」
東京の街で「江戸」を発見する楽しみを体験的につづる。イラストレーターでもある筆者の観察眼が活きる。(西岡一正) 

毎日新聞夕刊【読みごろ話題の本】 平成15年(2003)1月6日                               江戸開府400年 面白本が続々 庶民の暮らし追体験                                   ガイドブック持参で、江戸のニュース現場探索はどうか。十一代将軍家斉は側室の数40人。その一人、お美代の方と父日啓が引き起こした大奥スキャンダルの引き金は感応寺建設。松本こーせい著『歩いて愉しむ大江戸発見散歩』によれば、現場は東京都豊島区目白3、4丁目だ。(桐山正寿)                              

東京新聞中日新聞【読書】 平成15年(2003)1月6日
「散歩考古学」と銘打ち、東京の歴史に触れる散歩のススメを文とイラストで構成。 「江戸城と武家屋敷」「町人と下町文化」などのテーマで、史跡をたどるルートを網羅。江戸を舞台にした史実はもとより、こぼれ話豆知識を紹介、難解な用語の説明も添えている。イラスト、写真や 浮世絵も織り込み、〝じっくり派〟が十分に愉しめる

『歴史読本』【BOOK REVIEW・れきどく図書室】 平成15年(2003)2月 号
江戸情緒を随所に残す町並みや、つい見落としてしまうような「残り香」を留めるモノ・場所をイラストルポで紹介。江戸を訪ねる散歩の友に最適。

『散歩の達人』【欲ばり活字中毒者のためのらんらん乱読ラインナップ】 平成15年(2003)1月 号
江戸開幕以来の「土地の記憶」 を発掘する面白さ  
街を歩いていると、ふと、ある風景に 「一見何気ないけど、何か作為的なもの」を感じて立ち止まらされることがある。例えば
それは、ビル街にぽっかりひらけた公園だつたり、妙に古いレンガ壁だったり。そうした土地には、あとで調べてみると歴史的いわれが潜んでいることが多い。本著では、平成の東京に残る様々な歴史の跡を採集。江戸時代にまでさかのぼって丁寧に推理・解説を加え、土地の履歴書をつむぎだしている。

小伝馬町にある十思公園は、時代劇でお馴染みの伝馬町牢屋敷跡。「多くの処罰が行われたため買い手がつかず、公園にするよりなかった」のだとか。神田川と隅田川の合流地点にかかる柳橋周辺は、下町情緒のある佇まい。この一帯には「天保の改革で弾圧された深川芸者が移住」し、明治初年頃には最盛期を迎えたのだという。(略)……、読み進むほどに唸らされる。(池田征代) 
     

『東京人』【インフォメーション】 平成15年(2003)2月号
江戸開府四百年を迎える今年、多くの江戸関連本が出版されているが、その中でも好評なのが『歩いて愉しむ大江戸発見散歩』だ。東京の街に残る江戸の面影を探しながら、文章とイラストで歴史を読み解いていく一冊で、権力抗争から大奥、忍者、市井の事件まで、江戸のニュース現場を歩く「散歩考古学」入門書になっている。「江戸城と武家屋敷街を歩く」「町人と下町文化を求めて」「山の手台地と寺町散歩」「『花のお江戸』芸能風俗をめぐる」の四項目に分け、十六の散歩コースを紹介。最寄りの駅から移動時間がどれくらいかかるか、知って得する豆知識など、いたれり尽くせりの内容である。

『なぞのスポット 東京不思議発見』山海堂 平成15年(2003)         山海堂『土木施工』に55話連載の13話を加筆して刊行。続刊が予定されていたが山海堂の倒産により未刊行となる。                                           平成15年CBC中部日本放送ラジオ「つボイノリオの聞けば聞くほど」が、本書と『歩いて愉しむ大江戸発見散歩』をもとに秋分の日特集「大江戸発見散歩」を放送、著者として3時間生出演した。
「講座・催事・放送出演」https://koukisin-sanpokoukogaku.com/blog/?page_id=772

読売新聞【読書】平成15年(2003)9月28日
連続する江戸東京 
JR駒込駅構内のツツジが江戸の華やかな園芸文化の名残であることをご存じだろうか。知られざる街ネタから江戸・東京の成り立ちを説き起こす『東京不思議発見』。〝散歩考古学〟の見地から江戸と東京を結ぶ細い糸を手繰り、巨大都市の歴史に埋もれた一面を明かす。「坂と橋が東京の風景のキーワード」という指摘は新鮮だ。

東京新聞中日新聞【読書】 平成15(2003)11月16日
東京の街で出合う不思議なモノや謎のスポット〝散歩考古学〟的な視点で探った。江戸から東京への連続性と非連続性を、時の流れにしたがって迫っている。新宿の都庁裏のくぼ地や高円寺の「気象神社」など見落としそうな場所の由来を満載。東京の新鮮な風景が浮かび上がってくる。外国人が好む神楽坂や再開発された六本木や汐留についても、都市史が専門の陣内秀信と語りあっている。

宮崎日日新聞【社会】 平成15(2003) 11月16日
東京の不思議に迫る本
(一部抜粋)「散歩考古学」という視点から江戸・東京の成り立ちを探る『なぞのスポット東京不思議』。時代背景やエピソード証言から東京各地の謎を楽しく迫っている。園芸文化変遷の「消えた世界最大の〝園芸の里〟とソメイヨシノの名の由来」「幻の東京五輪と万博会場候補地月島の歴史」「歌舞伎町誕生の逸話」「気象神社」など、地元の人でも興味深い数々の東京の歴史を地形や建造物、都市空間に触れながら解説している。

『散歩の達人』【欲ばり活字中毒者のためのらんらん乱読ラインナップ】 平成15(2003) 11月号
街角にひそむ「?」を糸口に過去へトリップする面白さ  
「散歩考古学」を展開するイラストライターによる、江戸~東京の歴史散歩案内。街歩き取材の中で出合った、名もなき遺構や、何かの跡らしき気配といった、微小な時の断片を拾い上げて丁寧に考察。歴史的資料を集めて、当時の市井の様子を生き生きと蘇らせている。各章のタイトルは、「〝密偵の隠れ蓑〟になった古着屋街⁉」、「週刊誌もビックリ⁉大奥スキャンダルで廃寺」、「アントニオ猪木がモデルの仁王像!」など全13項目。                                                            さらに本編のほかに、歴史をより深く理解するための「キーワード式歴史ガイド」、筆者が「今日の散歩ブームの先駆け的存在」と目する工学博士・陣内秀信氏との対談を所収している。建築と都市史の観点から俯瞰する江戸・東京は、じつに味わい深く、この街に住む人間のひとりとして様々な未来を考えさせられる。                                    あとがきで著者は「もとより私は学術的専門家ではありません」と謙遜しているが、その情報量たるやかなりのもの。巻末の参考文献の数からも、遊び心あふれる旺盛な「学問」ぶりがうかがえる。 (池田征代)

「出版ダイジェスト」【散歩大全】平成17年(2005)1月21日
 ジュンク堂池袋本店・大阪本店・京都店・三宮店・広島店・福岡店〉6店の特設コーナーで散歩本16点展示            『なぞのスポット東京不思議発見』松本こーせい 山海堂                                    痛快!トウキョウ散歩考古学                                               街を歩いていて、ふと好奇心をひく遺構に出会うことはないだろうか…。そんな遺構や街の記憶の断片から、まつわる由緒話を引き出し、時代の背景を丹念に調べ上げ、街の成り立ちと歴史にまで立ち至ること。それが「散歩考古学」だ。

                                                            この散歩考古学の提唱者である著者が、東京各所に点在するさまざまな遺構や記憶を詳細に解説しているのが、本書である。                                                 「アントニオ猪木がモデルとなった仁王像!」をはじめ、「大奥スキャンダルで廃寺!」、「歌舞伎町の歌舞伎って何だ?」など、〝散歩考古学〟的視点から発見した、とっておきの街ネタ十三本を一挙に公開している。知られざる街ネタから江戸・東京の成り立ちが浮かび上がってくる。各ネタごとにイラストマップが付されており、散歩ガイドとしても活用できる。また、雑誌『東京人』編集委員も務める陣内秀信氏(法政大学教授)との対談も収録されているのも魅力だ。                                                  普段何気なく歩いている街も、これを読んだら、全く違う風景に見えてくる一冊といえよう。

『散歩考古学 東京の中の宮崎』宮崎日日新聞社 平成20年(2008)

平成18年(2006)から宮崎日日新聞に全44話連載。ページ数の都合により40話を所収                                                平成24年(2012)MRT宮崎放送テレビ「わけもん!GT」「藤岡弘、宮崎ぶらり旅」が「特別版東京の中の宮崎」を4回放送。私が藤岡さんに「東京の宮崎県人ゆかりの地」を案内して出演した。
「講座・催事・放送出演」https://koukisin-sanpokoukogaku.com/blog/?page_id=772

宮崎日日新聞【読書】評・南邦和(詩人) 平成20年(2008)5月8日
興味深い郷土史番外編
(略)松本こーせい創出による〈散歩考古学〉は、切り口鮮やかな新スタイルの散歩方式である。近世から近現代に至る首都東京に、江戸の名残や明治・大正期の〝帝都〟の面影を求めるタイムスリップは、まさに「知」のパズルであり、郷土史番外編として尽きせぬ興味がある。

                                                            イラストライターとしての実績を持つ著者の本領を生かした地理案内と、日向宮崎県人の「東京」での足跡をたどる、まさに博覧強記的歴史記述から成る本書は、歴史書、実用書として大いに役立つビジュアルな一冊である。                   日向各藩の藩主たちの日常や江戸屋敷の様子、また安井息軒、秋月種樹、小村寿太郎をはじめ、上原勇作、財部彪(軍人)、高木兼寛(医師)、石井十次(社会事業家)、三好退蔵(司法官)、若山牧水(歌人)など、本県出身の先賢偉人たちの活躍舞台としての東京がその時代相を写しながら、自在に切り取られている
                 
本紙文化面連載当時から多くのファンを得ていたようだが、日本近代史を窺(のぞ)く「意外史」としての興味深いエピソード満載の一冊でもある。郷土史に名を残す〝変わり種〟として、武士から落語家に転身した二代目柳家小さん、千葉周作道場の師範代井上八郎、県人初の声楽家権藤圓立などの記述にも新しい発見があった。


また日向各藩の江戸屋敷の所在についても、現代のマンモス都市東京の地層に埋没した往時のイメージを喚起してくれる貴重な情報が盛り込まれている。例えば、飫肥藩中屋敷は現在の神宮外苑の一帯にあり、聖徳記念絵画館には、都城出身の日本画家山内多門の大作が収蔵されていることにも歴史的因縁を感じさせられる。
(略)バックに古地図を配した〝新東京〟の表紙イラストも効いている。

『国づくりと研修』【ほん】全国建設研修センター 平成20年(2008)121号
当誌「散歩考古学 大江戸インフラ川柳」連載中の著者による本書は、宮崎日日新聞連載の単行本化だ。
歴史の大舞台江戸東京に記された日向宮崎県人の足跡を、丹念な調査とイラストで辿った四〇話。宮崎県で生まれ育った著者は、東京に居を置きながら、自由な視点で歴史を俯瞰しつつ、郷土の先人が江戸東京で何を考え、事跡を残したかなど再発見の旅をガイドする。
一話が見開き四ページ、エリアごとに構成された緻密なパノラマで、当時、世界有数の成熟都市・江戸の界隈、そして激動の明治期を垣間見せながら、東京の今へ逆照射してみせる。土地の記憶から歴史に立ち至る「散歩考古学」の道筋である。
今年六月から毎週土曜、その全国版ともいえる「東京ふるさと散歩」(東京新聞)で四七都道府県人を辿り始めた著者の掘り起こしは続く。当財団(全国建設研修センター)がJICAに委託されている開発途上国建設技術者研修の講師も務めている。
(お)

『みやざき仰天話 松本こーせいのみやざき歴史発見』鉱脈社 平成23年(2011)
 平成21年(2009)に宮崎日日新聞新聞に連載した「宮崎不思議発見」全25話を加筆し、これに15話を加えた40話を所収。                                       平成23年からMRT宮崎放送テレビ「アッパレ!miyazaki」で、本書をもとに「松本こーせいのみやざき歴史発見」全19話を放送、出演。
「講座・催事・放送出演」https://koukisin-sanpokoukogaku.com/blog/?page_id=772

MCN宮崎ケーブルテレビ「よそいそPLUS」平成23年(2011)6月
『みやざき仰天話』の著者 松本こーせいさんに聞く

土地の記憶から町の成り立ちと時代の仕組みに立ち至る「散歩考古学」を提唱し、イラストレーターであり、作家でもあるイラストライターとして、東京と宮崎で新聞、雑誌、書籍で執筆を展開する松本こーせいさんに、宮崎にまつわる面白話、仰天話40話をまとめた著書『みやざき仰天話』についてお話を伺いました。                                   単なる歴史本でもイラスト本でもない仰天話。生まれ育った、あるいは住んでいる土地なのに知らなかった話が満載です。

『好奇心まち歩き すみだ歴史散歩』 鉱脈社 平成28年(2016)
私はかつて墨田区亀沢に仕事場を設けて住んでいたことから、平成25年に緑図書館主催の「すみだ文化講座」「すみだ散歩考古学」と題する講演を行い、これが契機となって「すみだ本」出版の依頼をうけ本書が誕生した。
「講座・催事・放送出演」https://koukisin-sanpokoukogaku.com/blog/?page_id=772

情報誌『アクセス』【新刊ダイジェスト】473号 平成28年(2016)6月
(略)…そんな墨田区も昭和40年ころまでは工業地帯、さらに明治時代には歌人伊藤左千夫が牛を飼ったり、幸田露伴が「長閑な別荘地」と評したり、住宅の立て込む現在とは違った光景が広がっていました。

本書はそんな墨田区の歴史を、「散歩考古学」を提唱する著者の紹介する11のコースに沿って解き明かしていきます。途中で出会うあれこれの解説はただの歴史解説のみならず、江戸時代のゴシップや言い伝えの類も多く取り上げられています。本所七不思議や玉ノ井のバラバラ殺人事件の顛末など、歴史の本には登場しないような話が興味を引きます。どこにでもあるような下町が、積み重ねてきた意外な一面を私たちに見せてくれます。                                                          本書を片手に実際に墨田の街歩きに繰り出すもよし、墨田区の歴史を調べる際には、百科事典的な役割も果たしてくれるでしょう。

『石井十次物語』石井十次顕彰会 平成30年(2018)                          

令和2年(2020)の「石井十次賞」(石井十次顕彰会)受賞者の黒柳徹子さんは、本書『石井十次物語』で十次のことを知ったという。

宮崎日日新聞 平成30年(2018)5月28日
石井十次顕彰会 「石井十次物語」を発刊 不屈の精神学んで                                (一部抜粋)取材、文章とイラスト、構成はイラストライター・松本こーせいさん。高鍋・宮崎での青少年時代、医学生・岡山孤児院、茶臼原孤児院時代に分けて、33のエピソードを一つ4ページ以内に抑え、イラストや写真などを加えて読みやすくしている。当時の時代背景をまとめた基礎知識なども記載され、歴史をわかりやすく学べる
松本さんは「失敗や挫折を伝えることで親しみが湧く神格化されたものではなく、等身大の十次を伝えたかった」と語る。
  


タイトルとURLをコピーしました